20160727

「愚かな民は愚かな代表を選ぶ」

吉本の芸人さんでフリージャーナリストのおしどりマコさんが書かれた以下の記事に「愚かな民は愚かな代表を選ぶ」という言葉がありました。
民主主義って何だ!?少なくともこれじゃない。ゼロから。これから。
7/31投開票の東京都知事選挙における野党共闘のお粗末さなどから、感じられたことを書かれている記事で、私もとても共感しました。宇都宮けんじさんが万全の政策集と仲間たちとともに3度目の立候補を表明されていたので、私は宇都宮けんじさんが東京都知事になってほしいと思っていました。

しかし、野党4党は宇都宮さんでまとまることができず、石田純一さん、古賀茂明さんと二転三転した挙句、ジャーナリストの鳥越俊太郎さんが、参院選の結果を受けて、憲法改悪への危機感から立候補を決められると、知名度が高くて勝てそうだからという理由だと想像しますが、ギリギリになって鳥越俊太郎さんを野党統一候補とする、と密室で決まったというやりとりがすごく腑に落ちなかったのです。

さらに辟易としたのは、野党共闘に一辺倒になっているリベラル派の人々。

宇都宮けんじさんが撤退を表明されるまでにも、選対のスタッフのみなさんにまで野党共闘を推す一般の人々から、誹謗中傷があったと、宇都宮さんは記者会見で語られていました。

それ以外にも、今回の統一候補を決めるプロセスは十分に公正なものとは言えなかったのではないかといった、野党共闘を応援していないとみなされる発言は、ことごとく叩かれまくり、口汚く罵られていたりして、こんなのは、ネトウヨとか、マスメディアに対して言論統制を強めている政府与党とおんなじじゃないか!とすごく残念に思っていました。

宇都宮さんを応援していた人たちのなかには、宇都宮さんが立候補しないことになったことを受けて、小池百合子氏を応援すると言い出す人もいて、短絡的すぎるとがっかりしました。「宇都宮さんが降りる原因をつくった鳥越が憎い、自民党推薦の増田はだめだから、小池」ということなんでしょうが、小池百合子氏は、憲法の改悪に大賛成で、核武装論者、待機児童問題は詰め込みと保育士の待遇を下げることにつながるような規制緩和で解消しようとしている、原発は推進するなど、宇都宮けんじさんの政策とはかなりかけはなれている人です。

記者会見での発言や記事、アンケート回答などを基に上手にまとめてくださっていた方がいましたので、貼っておきますね。



一時的な復讐心ではなく、宇都宮さんが撤退した目的はなんだったのか、都政で実現したいことに一番近い政策をしてくれそうなのはだれなのか、憲法の改悪に歯止めをかけるためにはどの候補が当選すべきなのか、脱原発を実現に近づけるにはだれを都知事にするべきなのか、など、目的をよくよく考えなおして、今回の投票を考えてもらいたいと思います。

念のために言っておきますが、鳥越俊太郎さんについてはわるく思っていません。辺野古基金の共同代表の一人でもあり、脱原発にも取り組まれていますし、都民の声に耳を傾けるという姿勢も、これこそが都知事に求められることだと思うので、鳥越さん自身については特に文句はありません。政治的な手腕があるのかどうか、不安を感じますが、当選させて終わり、ではなく、都民の代表としてみんなで支えて、ブレーンとともにそっちの手腕も磨いていってもらうということができれば、大丈夫なのではないでしょうか。ただ、決め方のプロセスや取り巻きの乱暴な発言にがっかりしていて、もろてをあげて応援する気にはなれません。

おしどりマコさんがさきほどの記事で書かれていた言葉は、ドイツの放射線防護庁の官僚の言葉だそうです。
「市民が学び、考え、動くことが必要」。昨日も書きましたが、主権者である私たち国民の一人ひとりがよく学び、考え、発言したり、意見を交わしたり、行動したりするということは、ふつうにやるべきだと思います。しかし、今回の一件を見ていて、私たちはまだまだそれにはほど遠い状況にあるということだと思いました。

少なくとも、安倍政権をこんなに持続させている日本国民は平均してしまうと愚かな民だと思います。映画監督の想田和弘さんがフェイスブックに「わかりやすく言うと、現在の日本は、トランプが大統領になって、その後も3回も選挙で勝ち続けているような状況ですよ」と書かれていましたが、本当にその通りだと思います。

あのような未曾有の原発事故が起き、解決もまだ見通しが立っていないというのに、原発を推進してきた自民党を大勝させつづけている。憲法違反の安保法制を強行採決によってゴリ押しし、アメリカとともに血を流す政策をとり、さらに憲法をぶち壊そうとしている自民党をまた勝たせている。挙げればキリがありませんが、こんなことはおかしいということに気がついて、わかりやすく語れる人も、声を上げる人もまだまだ少ないし、そもそも、まだ気づいていない人が圧倒的に多い。日本人は現状では残念ながら、かなりまだ愚かな民だと思います。自分も含めて。

日本は民主主義の国だと思っていたけれど、民主主義が崩れかかって初めて、「民主主義ってなんだろう?」と少なくない数の普通の市民が考え始めた。そして、野党がバラバラに候補者を立てていると票が割れてしまって与党に勝つことが極めて難しく、民意が反映されにくいということに気づいた人々が、野党共闘というのを試してみたのが今回の参議院選挙だったと思います。効果がありそうだとわかるとたちまち有頂天になり、猫も杓子も野党共闘、それ以外の意見は黙らせようとする、じつはリベラル派も民主主義を本当には理解していなかったということが明らかになったのが今回の都知事選。そういうことだと思います。

失敗から学び、民主主義って何だろうと考えつづけ、語り合いつづけ、本当の民主主義を築いていく。そういう段階に、今ようやく入ったのではないでしょうか。