20160425

国連・表現の自由調査官「日本の報道の自由は深刻な危機にある」。報道の自由度ランキングは72位に転落。

昨年11月に本当は来るはずだった国連の表現の自由に関する調査官の方が、ようやく来日を果たしました。政府が受け入れを拒んでいたために、なかなか来られなかったのだそうです。国際基準で日本の今のメディアの状況を見ると、どのような評価になるのでしょうか?

フリージャーナリストの田中龍作さんが現場にいながらツイッターに連投してくださっていたので、ご紹介します。臨場感たっぷりでしたし、「それって、このことを指して言っているのだろうか?」などと、読みながら、自分の頭で考える訓練にもなりました。
















特に驚いたのが、日本人記者が「匿名でお願いします」と断ったうえでしか話せないという状況。どんな恐ろしい圧力がかかっているのでしょうか? 

会見全文の書き起こしもあります。
ログミー:「記者クラブ制度は廃止すべき」 国連報告者が日本の大手メディアと権力の癒着を指摘
フリージャーナリストの志葉玲さんもツイッターで、記者会見についてレポート。次のように述べられていました。


与党・自民党からは「沖縄の地元メディアを潰せ」なんて暴言まで出たり、高市総務大臣からは公平性を欠く(=国に都合のわるい)ことを放送したら、それがたった1つの番組であっても電波を停止することがある、という発言もありました。これっておかしいでしょ、という感覚だったんだけど、まわりであまりそういうことを言う人がいなくて、やっぱり確証がないと物がいえないというか、お墨付きがないと意見できないのか…と思っていたところに、国連の人権の専門家がおかしい、と言ってくれたことは、大きな追い風になるんじゃないかと思いました。

この会見をもとにして書かれた記事は以下です(ほかにもググってみてください)。全部の様子を見た後で、記事を読むと、国民に知られたらまずいことを落として書いているところがどこかもよくわかるし、これはみんなに知らせないと!という思いで報道しているところがどこかもよくわかります。
「特定秘密保護法は報道に重大な脅威」 国連報告者が初調査:東京新聞
社説[国連報告者が警告]報道の独立性が危ない:沖縄タイムス
高市総務相も逃げた国連「表現の自由」特別報告者の舌峰 | 日刊ゲンダイDIGITAL 
国連・表現の自由調査官 「タカイチ大臣に会いたかった」:田中龍作ジャーナル
表現の自由が大事なのは、政府がおかしなことをしたときに、国民が選挙で改められるようにするためです。

政府がおかしなことをした場合、国民は選挙という制度を通じて、政府を変えることができます。しかし、表現の自由が守られていなければ、国民は判断材料を得られず、選挙で正しい選択をすることができません。だから、表現の自由、知る権利は、独裁や民主主義の危機的状況を防ぐために極めて重要です(これを安倍首相がわかっていなかったことは過去にも書きました→民進党の山尾しおりさんのインタビュー記事のこと。)。

表現の自由に関連して、2016年報道の自由度ランキングが発表され、安倍政権になって以来、下がる一方のこのランキング、日本は61位から72位とさらにランクを落としました。
報道の自由度が急落 日本61位→72位に:東京新聞
報道の自由度:米紙「日本がタンザニアより低くなったのはなぜか」:沖縄タイムス
こうした状況のなかで、報道はもうあてにできないとすれば、まだまともな報道機関や、フリージャーナリストを応援したり、現場に近い人たち、生に近い情報(書き起こしやプレスリリースなど)を元に、自分で判断することが極めて重要性を増していると感じました。それだけではなく、自分がメディアになる重要性もこれまで以上に増しています。マスメディアに自由がない状態なんだから、一般の人々がメディアになるしかない。数は一般市民のほうが断然多いのだから、草の根自分メディアで伝えていくことで、世の中を大きく動かし、報道の自由、表現の自由をまともな状態に戻すことは可能なのではないかと思います。