20160309

つくる暮らしがGDP(国内総生産)に貢献しないという不思議

【旧暦如月朔 啓蟄 初候 蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)】*魚座の新月10:54*

「あんたみたいな暮らしじゃ、GDP(国内総生産)に貢献しないね」

たまにそう言われます。

私みたいな暮らしというのは、こんな感じです。

お米と野菜をつくり、着るものをつくり、ほつれたものは繕って、コンポストトイレをつくり、堆肥をつくり、家のまわりで木を手入れして薪(=燃料)をつくり…。電気をなるべく消費しないように、冷蔵庫を持たずに、保存食をつくり。テレビを持たずに、できた時間で、たとえばこんなふうに情報を発信し。石油をなるべく消費しないように、車を持たず、自転車と徒歩。動力は人力(自分の力)。

ひとことで言うと、食べるもの、使うもの、燃料やエネルギーを、なるべく多く自ら生み出す暮らしをしようとしています。

そうするとときどき、「GDPに貢献しない」と非難されるのです。

これは不思議なことだと思いました。GDPとは「国内総生産」のこと? 「つくる」暮らし、「生産」する暮らしがなぜGDPに貢献しないんでしょう。私、今日も日本の国内でたくさんつくりましたよ。余計なエネルギーは使わなかったし。

たぶん、非難してくる人も定義を知らずに言っているんだと思いますが、GDPは「国内で生産したものやサービスを市場で取引してお金に変えた1年間の総額」のこと。国内で生産されたものを消費すればするほど、GDPが増加する。だから、私みたいな「つくる」暮らしをしていると、国内総生産に貢献しないわけです。「国内総取引」とか「国内総消費」と言ってもらったほうがわかりやすいかも。
原則として国内総生産には市場で取引された財やサービスの生産のみが計上される。市場で取引されない活動は、GDPには含まれない。このため、家事労働やボランティア活動などは国内総生産には計上されない。この点は、国民総生産でも同じである。(wikipedia 国内総生産「概要」より)
物がない時代だったら、GDPは増えれば増えるほどよかったんだと思いますが、今は物が溢れている時代。足りているもの、いらないものを買わせないとGDPは増加しない。

GDPに貢献するものとは何か? 使い捨てのもの。リニアやIHクッキングヒーターなど、電気を無駄にたくさん使うもの。車など燃料を買い続けないと使えないもの。その結果、資源を無駄遣いして、ゴミは増えに増えて捨て場所がない。原発でつくった電気がないと電気が足りないと騒ぐ(本当は足りている)。

物がすでに足りている今の時代において、GDPというものが果たして、本当に豊かさをはかる指標として役立つのかどうか、もう一度考えなおす必要があると思います。

食べるものを自分の手でつくり、大切につくられたものを壊れたら直して大事に長く使う。化石燃料をなるべく使いたくないから、薪を使い、なるべく電化製品を使わない。そういう暮らしは、豊かで幸せです。自分の手で作ったもの、直したものを見るたびにうれしくなります。地球はたくさん恵みをくれるので、友だちに分けてあげることもできます。GDPには全く貢献しませんけれども、とても豊かな暮らしです。そして、地球の持続可能性には貢献する暮らしです。

GDPはもはや古い指標なんじゃないでしょうか。どんな批判を受けても、GDPよりも地球の持続可能性に貢献する暮らしを続けていきたいと思います。そっちのほうが、豊かで健康的で幸せで楽しく、満足感も格段に上です。

幸せの経済学(字幕版)


いよいよローカルの時代―ヘレナさんの「幸せの経済学」 (ゆっくりノートブック)


里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)