20160324

悲劇は魂の選択か?を『引き寄せの法則』の原典から考えると―悲劇を終わらせるためにできること

【旧暦如月十六日 春分 初候 雀始巣(すずめはじめてすくう)】

先日、以下の記事を書きました。
20160312 悲劇は自分が引き寄せたもの?魂の選択?そんなわけないよ!の話。
この記事は、「悲惨な目に遭う人はそれを自分の思考によって引き寄せている」、「悲劇的な経験をする人は、それをこの世での修行や使命として選びとって生まれてきている」などという、特にスピリチュアル系の人たち(≠スピリチュアルな人。本当にスピリチュアルな生き方をしている人はこんな誤解はしない)によくある誤解を聞いて、考えたことを書いた記事でした。

「引き寄せの法則」というのがあって、スピリチュアル系の人たちには結構よく知られているのですが、これの曲解がそういうおかしな結論につながりやすいようです。

「引き寄せの法則」というのは、自分の思考が現実になり、自分が出している波動が高いほど現実化が早いという考え方で、目に見えない存在のエイブラハムがエスター・ヒックスさんとジェリー・ヒックスさんを通じて伝えた宇宙の法則です。ポジティブな感情でいるほど波動が高まると言われています。原典の日本語訳は以下の本です。


解説本が山のように出ていますが、
著者それぞれの解釈が加わっているので
まずは原典に当たられることを強くおすすめします。
英語が読める方は
英語版:The Law of Attraction: The Basics of the Teachings of Abraham
のほうがすんなり入ってくる感じです。
エイブラハムは初め、スピリチュアルのことを全く信じていなかった(むしろ毛嫌いしていた)エスターさんの鼻を動かして文字を書かせ、ジェリーさんがそれを書き取ってメッセージをキャッチしたということです(ジェリーさんはスピリチュアルのことが好きでよく本を読んでいたらしく、パートナーのエスターさんは「私の前でそういう本を読まないで!」というくらいスピリチュアル嫌いだったらしい)。

私自身はまだ原典をさらっとしか読めていなくて、相方が原典を読みながらレクチャーしてくれた(というか、読んで目からウロコだったらしく、逐一読んだことを興奮しながら話してくれた)ものが、「引き寄せの法則」についての私の理解を形成しています。そのうち、時間に余裕ができたらじっくり咀しゃくしながら読みたいと思っているところです。

ただ、身の回りでも思考の現実化は結構あるので、やっぱり「引き寄せの法則」はある、と感じていますが、戦争や貧困など、もっと大きな社会の出来事に関しては、まだ自分の思考が強い影響力を持つかどうかについては懐疑的でいます。盲信している人たちの「平和をわくわくしながら思い描いていればいずれそれが現実になる」なんていう祈ってさえいればすべて解決する的な思想には、「それって行動しないことを正当化してるだけなんじゃないの?」と思う。

先日の記事に書いた、
罪のない子どもが戦争で血を流して死んでいく様子をニュースなどで見ることがあるが、それは、その子どもたちの魂がこの世界に生まれ出る前に、命の大切さを教えるためにその残忍な死を経験すると選びとって生まれてきたわけであって、かわいそうなことではない
というスピ系の先生の話について、相方の説明によれば、「魂が残酷な運命を選んで生まれる」という説明は、エイブラハムはしていないということです。

肉体を持って物質世界に生まれた人間が「引き寄せの法則」を完全に忘れてしまい、不幸な目に遭っているのを見かねて、目に見えない存在のエイブラハムが人間に語りかけてきたのが、この「引き寄せの法則」の本の発端で、残酷な運命を選んで生まれたというのは、「引き寄せの法則」の曲解どころか真逆になっているらしい。

人間は残酷な運命を選んで生まれるのではなく、原典では、人間は肉体を持った物理的な存在としてこの世での人生を楽しむために生まれてくる、この世界に生まれる前には「引き寄せの法則」を使って自由に愉しく幸せに生きられると思っている、と説明されているとのこと。

しかし、いざ肉体を持った物理的な存在として生まれてみると、生まれる前の記憶はなくなり、「引き寄せの法則」も忘れてしまうから、不幸な目にあったりする。「自分を選んで生まれてくる」ということが真実だとしても、苦しみにきているわけではなくて、肉体を持った存在としてのこの世での人生を楽しもうと思って生まれてきているということです。

生まれる前には、「引き寄せの法則」を使ってなんでも思い通りにできると思って生まれてくるのに、この世に生まれてくると、「引き寄せの法則」を忘れてしまって、全く使うことができず、自分の思い通りに生きていくことができなくなってしまっている、それがもどかしくてエイブラハムは出てきたという。

仮にエイブラハムの言っていることが正しいとすれば、「人間は自分を選んで生まれてきた」はそうだとしても、「だから、戦争など悲劇にあう子どもはかわいそうなんじゃなくて、それによって何か大切なことを伝えにきた」というのは誤りだということになる、という説明でした。

しかし、仮に、「人間というのは自分を選んで生まれてきた」という通説が正しいとすれば、「なぜ、戦争などの悲劇にあう小さな子どもは、戦地を選んで生まれてくるのだろう?」という疑問が浮かびます。私が腹を立てたスピ系の先生は、「残酷な死を経験して命の大切さを教えるという尊い使命のため」という結論をつけられたようですが・・・。

tom-tom: じゃあなんでさー、そんな戦争のところに生まれちゃったりするの?

相方: それは、「引き寄せの法則」で戦争を終わらせて平和を創れると思って生まれてくるからやろな。この世に生まれる前には「引き寄せの法則」を使いこなして、なんでも自由自在に創造して楽しんでいて、それが地球でもできると思っていたわけやから。地球上で、こんな野蛮なことが行われている、自分がなんとかしなければ!と思ってやってくるんやけど、いざ肉体を持つとそのやり方を忘れてまうんよ。

なるほど・・・。「引き寄せの法則」を忘れてしまって、戦地に生まれた魂たちは本当に悲劇だと思う。「どうにかしなければ!」と思ってやってくるのに、社会の情勢に翻弄されてしまい、苦難に溢れた悲惨な暮らしになってしまう。

相方:紛争地帯などに生まれた子どもは、ちっさいころからネガティブな思考や言葉や波動を浴び続け、目にするものも耳にするものも、悲劇にあふれとるんやから、「引き寄せの法則」の通りに、「ネガティブ」なものに意識や思考を向けると、その現実を強化するから「ポジティブ」なものだけを思い描けなんて言われたって、そういう場所で生きている人たちにとってはむちゃな話やろ。

tom-tom:そりゃそうやわ。んじゃ、わりと恵まれた環境にいる人間は、ネガティブな問題から目を背けて放置するんじゃなくて、その解決に目を向けて、そのためにできることを続けることでポジティブな世界を広げないといけないってことだよね。そのためには、思考よりも行動のほうが早いことだってある、ってかそっちのが多くないか…。

相方と話していて出てきた具体的な行動を箇条書きにしてみると以下のようになります。
  1. 武器をつくっている企業の製品を買わない
  2. 戦争をなくしていくビジョンと能力のある人に選挙で投票する
  3. 奪い合いで戦争の原因になっている資源をなるべく使わない暮らしをする
  4. 戦争の資金へとお金を回していない金融機関にお金を預ける
1.については、武器輸出企業のリストがありましたので参考にしてください。

3.についてはこの本がとてもわかりやすく、私はこれを読んでから、なるべく石油を使わない暮らしをしたい!と思うようになりました。昔、「カンタ・ティモール」という映画を見た感想にも書きましたが、石油が戦争の大きな原因の一つになっているのです。

戦争をやめさせ環境破壊をくいとめる新しい社会のつくり方―エコとピースのオルタナティブ

4. については、メガバンクの比較には、銀行の社会性を格付けした日本初のサイト"Fair Finance Guide Japan"が参考になります。これ、見るとメガバンクにはどこにも預けたくなくなりますが…。

祈るのも無意味だとは思わないし、何も思考しないよりは、ポジティブな現実をワクワクしながら思い描いたほうが絶対にいいと思うけど、行動も大事だと思います。「ケシ粒ほどの信念が岩をも動かす」という言葉もあるけど(山だっけ?)、目の前にある石は、信念で動かすより、手でひょいっとどけたほうが断然早い。念だけで世の中をよくしようと試みている人たちに無理に行動しろとは言いませんが、おかしな勘違いをもっともらしくふりまいて、行動する人の足を引っ張るのはよしてほしいと思います。

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