20160311

東日本大震災から5年。

【旧暦如月三日 啓蟄 次候 桃始笑(ももはじめてわらう)】

2011年3月11日の東日本大震災から今日で5年。せめて、風化させてはいけないという思いで、今日は、常々気になっていたことを調べて書きたいと思います。

朝日新聞によると、今も17万人以上の方々が避難生活を送られているそうです。仮設住宅の入居戸数は5万戸以上。災害公営住宅の建設は、人件費の高騰などで建設が遅れていて、3万戸弱の計画のうち半数に満たない1万4042戸にとどまっているそうです。

オリンピックなんかやってる場合じゃないと思います。ロゴのデザインやら、国立競技場やらにそんなにお金が払えるんだったら、何軒家が建っただろう。オスプレイ17基も買ってないで、まともな住宅早く作ろうよって思います(参照→しんぶん赤旗2015/5/8「日本にオスプレイ17機売却 社会保障費削減分に匹敵 総額3600億円 想定価格の2倍超える 米国防総省 議会に通知)。3600億円あったら何軒建ったんだろう。

原発災害で避難されている人々の数は、Greenpeace Japanの今日のブログによれば、およそ10万人
東京電力福島第一原発事故によって、14万6,000人もの方々が住み慣れたふるさとからの避難を余儀なくされ、そのうちおよそ10万人の方々が今でも元々住んでいた場所に帰還できていません。いくつかの地域では今なお高い放射線量が継続して測定され、帰還政策を進める政府はありのままの情報を伝えていません。(Greenpeace Japan blog 2016/3/11 東日本大震災、福島原発事故から5年ーー原発事故は終わっていないより)
受け入れ先の県ごとに地元の新聞社などが統計を出しているところもありました。私も東京が原発からの放射能で汚染されたので、西日本へ逃げてきました。こちらで知り合った原発災害避難者の知人も多いです。

Greenpeaceのブログに「帰還政策を進める政府」とありましたが、避難者に対する政府の対応は無情です。強制帰還政策は本当にひどい。以下の田中龍作さんの報道で、「オリンピックがあるから(「復興している」と)外に向かって言うために(私達を)福島に戻すのか?」と政府を追及する原発災害避難者さんと、他人事のような顔で紙を読み上げる若手官僚たちの対比に心が折れそうになりました。本当に許せない。東京でオリンピックするなんて逃げてきた私からしたら信じられません。
原発避難者の住宅支援打ち切りはオリンピックのためだった 政府「方針変わるものではない」(田中龍作ジャーナル2016/3/2)
関連してこんな記事も。
この国の政府は、原発避難者を「消滅」させようとしている――フクシマ5年後の真実(現代ビジネス日野行介氏)
官僚の血も涙もない鉄の仮面に、以下のきっこさんの書き起こしを思い出しました。福島の農家の方の質疑に読み取れる、安全な食べ物を消費者に食べてもらいたくて作っているのに、それが東電の事故による放射能汚染でできなくなってしまい、出荷できなければ食べていかれないし、出荷すれば自分でも食べないような汚染の危険のあるものを食べさせてしまうという農家さんの苦悩。これは多くの人に読んでいただきたい記事です。
「俺らはわかってる。だから私は食べない」「自分の子供に食べさせたいと思わないでしょ?」「風評じゃない!根にも葉にもある」2013/6/6東電・政府交渉(内容書き出し)
東京新聞の調べによると、原発関連死で亡くなられた方の数は1368人に上り、この1年で136人増加しました。原発さえなかったらと本当に悔やまれます。

チェルノブイリ原発事故でも子どもたちに甲状腺がんが多発しました。福島では、県が実施する健康調査で166人が甲状腺がんやがんの疑いとされ、5人はがんが確定しています。御用学者さんたちは「原発事故との関連性は考えにくい」の一点張りですが、私にはどう考えても、これだけ多発しているのだから、ないとは言い切れない、むしろあると思ってちゃんと調べたらどうなんだと思います(ご参考→)。朝日新聞の報道によると、甲状腺がん患者の家族会が発足したとのこと。つながりが大きくなって、立ち向かう勢力になっていけたらいいなぁと思います。

『女性自身』が福島の保護者の方々にアンケート調査を行なった記事もありましたので、ぜひ読んでみてください。
福島の保護者たちにアンケート詳細、そこにあったリアルな声(女性自身 2016年03月08日)
芸人さんでフリージャーナリストのおしどりマコ&ケンさんの調べによると、今なお、東電福島第一原発からは大気中に毎時数10万~数100万ベクレルの放射能が放出されているそうです。
北朝鮮からの「仮定」の毎時 1Bqの放射能拡散予測は迅速に発表された。

福島第一原発からの「実測」の毎時 数10万Bq~毎時 数100万Bqの放射能拡散予測は発表されない。(*)
*筆者注:2015年12月の「追加的」放出量は、毎時57万Bq未満。グラフをよく見ると2015年の追加的放出量は、10の5乗から6乗の間を推移している

隣国の地下核実験より、国内の原発事故の方が、はるかに影響は大きいが、その評価はされないのが現状である。
おしどりポータルサイト2016-01-22「隣国の核実験より、国内の原発事故の情報を!! 」より
毎日海に放出されている放射能の量は、おしどりさんが第33回特定原子力施設監視・評価検討会の資料を調べた結果、
・トリチウムは150億Bq/日
・ストロンチウム90は27億Bq/日
・セシウム137は12億Bq/日。
・セシウム134は4億1000万Bq/日
(2014年4月16~2015年2月23日の314日間の平均)
おしどりポータルサイト 2015-03-25「毎日、海に流出している放射性物質の最新評価値」より
とのことです。

放射性物質は今も出続けているので、風向きや雨で運ばれて、今も汚染は広がっています。除染しても、蓋をしない限り出続けているのでまた汚染されてしまう。汚染状況は全く把握しきれていません。

本来は国がきちんと責任をもってやるべきことですが、民間や市民の活動で、次々に驚くような汚染が明らかになっています。

最近のものでは例えば…
首都圏 汚染ごみ2.3万トン(脱被ばく実現ネット 2016/3/11)
放射能汚染ー32カ所が基準超え―東京東部で市民団体調査 JCP-TOKYO · 2016年2月1日 
「女性自身」が驚愕の原発汚染調査報告! 福島の小中学60校の8割で「放射線管理区域」を上回るセシウム(リテラ2016.03.09)
原発事故から5年目、横浜では小学校に放射性廃棄物を保管!学校地下に鉛のドラム缶!一キロ8000ベクレル超えも!(ANNの報道を基に書かれた個人ブログの記事)
以上などはたまたまわかったので、対策をとる余地があるだけまだましかもしれませんが、無責任な大人たちが推進してきた原発に、一度も原発に「YES」or「お任せします(=棄権/考えずに投票)」と言ったことのない子どもたちが被害を受けるようなことは絶対にあってはならないと思います。

被災者だけではなく、原発のことは国民全体の問題だと思います。全国に54基も作ってしまった原発をどうしていくのか、みんなで考えていかないといけないと思います。こんな試算結果もありました。
日本政府は福島原子力発電所事故の費用は東京電力が負担していると主張しているが、フィナンシャル・タイムズ紙(FT)の試算では、同事故による日本の納税者の負担は約1000億ドル(約11兆4000億円)になる。(日経新聞2016/3/7「[FT]福島原発事故の国民負担は約11兆円」より)
今、政治状況は最悪だし、無関心な人たちの様子を見ていると、もう参議院選どうなっちゃうんだろうって心配になります。刹那的に自分さえよければいい、とか、考えるのめんどくさいみたいの、もうやめようよ、って叫びたくなるし、スピリチュアルボケで、祈ってればすべて解決するとか、ポジティブシンキングで気持ちよくなってればそれで解決するみたいなことで思考停止になっちゃってるスピ系の自然派にも焦燥感を覚えます。

それでも、安保関連法案に反対するママの会(mothers against war)が全国各地で発足したり、SEALDsが素晴らしい活動を広げてくださっていたりと、若い人たちや女性たちが声を上げはじめています。デモに参加したり意見を言ったりする人も増えてきたような気がします。着実にポジティブな変化は見られます。あきらめないで、誰もが人間らしく生きられる世の中をつくっていくために、地道にできることを続けていって、連携も広げていきたいと思います。

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20160312 「田中龍作ジャーナル」の震災5年の記事から。「ウソが大手を振って歩くようになった」。ウソがわかる人も増えました。