20151223

「反貧困の学校」と「反貧困の学校2」を読んで〈その1〉―情けは人のためならず(本来の意味で)

【旧暦霜月十三日 冬至 乃東生(だいとうしょうず[=なつかれくさがはえる])

「♪東京なのに、宇都宮、弁護士だけど、けんじ」
と陽気で優しそうで強そうなおばちゃんが、一枚のビラをくれた。それが宇都宮健児さんのことを知った瞬間でした。

最初「?」と思ったけど、受け取ったビラの写真は見るからにいい人オーラがにじみでまくっていたので、ネットでよく検索してみました。

知れば知るほど好きになりました。都知事選のときには動画を見まくり、行けるときには生で演説を聞きに行きました。それまで、環境のことにしか興味がなかった私に、貧困のことを知らせてくれたのが宇都宮さんの存在でした。

自分だけ快適で気持ちよくて、地球にいいことをしている気になっていても不十分、とはっとさせられました。貧困がある限り、戦争はなくならないし、環境問題もなくならない(このつながりについてはもう少し時間があるときに書きます)。そう確信して、脱貧困も私のテーマに入ってきました。

ちゃんと本でも勉強したいなーと思い、図書館で宇都宮健児さんの本を検索してみると、
出てきたのがこの2冊でした。『反貧困の学校―貧困をどう伝えるか、どう学ぶか―』と『反貧困の学校2―いま、はたらくが危ない―』。

反貧困の学校

反貧困の学校2


垣根を超えて反貧困の声をあげるメンバーから成る「反貧困ネットワーク」が開催した「反貧困フェスタ2008」の模様をまとめた本。

パネルディスカッションを書き起こしたものが編集されていて、対談形式で読みやすく、当事者の声がていねいに拾われているのが印象的でした。読んでみて、大企業だから安心、公共機関だから安定している、なんてことは、まったくないってことがわかりました。正社員だから安泰ということもありません。だれだって、一寸先は闇。

他人事の問題では決してなくて、今安定しているから、大丈夫、と何も行動せずにいると、万一何かあったときに自分も困窮する可能性が上がり、万一何かある可能性自体も上がります。

当事者がせっかく教えてくれているのですから、先に困ってしまうことにたまたまなってしまった人たちに学んで、雇用を増やし、賃金を上げさせ、男女の格差をなくす、障がい者の雇用を手厚くする、失業した場合のセーフティネットを充実させる、といった運動は、結局は自分のためになると思います。今、大丈夫でも。

「自分は能力が高い」と思う人こそ、だれもが人間らしい生活が送れる世の中をつくるために、その能力を活かしてもらいたいと思います。

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