20140810

カンタ・ティモールを観てきました

【旧暦文月十五日 月齢 14.2 立秋 涼風至(すずかぜいたる)】*明日は満月3:09*

ドキュメンタリー映画カンタ・ティモール(歌え、ティモール)を観てきました。

*ストーリー紹介↓
http://www.canta-timor.com/01story.html

*予告編はコチラ↓
 

監督のお兄さんで撮影にも同行された写真家の直井さんも来てくださり、貴重なお話も聞かせていただきました。

上映後のお話し会の様子
悲しい事実を描いたものではありますが、善く生きる希望を与えてくれる、素晴らしい映画でした。東ティモールの人々の歌い、語る言葉や生きる姿から、許すということ、大地を敬う心、ジャーナリズムの重要性、政治にまずは関心を持つことの重要性など、大切なことをたくさんたくさん教えてもらいました。去年(まだ東京にいました)、フェアトレードショップで働いている友人からも、「すっごくいいから観て〜」とチラシをもらっていて、みたいみたいと思っていたのですが、移住のドタバタで叶わず、ようやく観ることができて本当に良かったです。音楽も素晴らしくて、音楽好きの方にもオススメです。

国民の3人に1人が殺され、国土の9割を焼かれるという壮絶な戦争が27年間続いた後、2002年に東ティモールは独立しました。こんな大変なことがあったなんて全然知りませんでした。

太平洋戦争中には日本が占領したこともあることや、占領を続けていたインドネシアにヨーロッパ各国が経済制裁を強める中で多額の軍事資金援助をしてきたのが日本で、しかも国別の内訳のグラフを見ると、日本の援助額が世界一だったこと、インドネシア軍の撤退を求める国連の総会決議では先進国の中で日本だけが毎年反対の票を投じていたことなど、日本人として、知っておくべきだったなぁ、と思う歴史を知ることができました。

日本がインドネシア軍の支援にまわったのは、インドネシアを支援すれば石油を安く買うことができ、インドネシア市場に日本の製品を売ることができるから。アメリカも軍事協力をしていました。一部の大企業が金儲けのために、自分たちは手を汚さずに戦争を起こしている―なんてむごいんだろうと思いました。

*もっと詳しく知りたい方はコチラ↓
■東ティモールについて(監督の広田奈津子さんがまとめてくださっている)
http://www.pc-lifeboat.com/waon/katsudou/abouttimor.html
■独立した東ティモール 日本とどんな歴史が?
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik/2002-05-30/0530_faq.html

同じからくりが、アチェをはじめ、世界中で今も起こっている戦争で見られます。使われているのは私たちの税金で、税金の使い道を決める国会議員を決めるのは私たちの投票。大企業を支えているのは私たちがその企業の製品やサービスに支払っているお金や、銀行にあずけているお金。私たちは何をすべきなんだろう、どうしたらいいんだろう、とすごくすごく考えさせられました。

3.11以降、世界を良くしたいと願い、願いから行動に移している人も多くなってきたように感じています。また、何か良くないことが起こっているときに、あいつが悪い、と悪者を決めて、そいつをやっつけるみたいな、単純思考ではなくて、自分も思考や行動も含めて、何がこの現象を起こしているんだろう、どうしたら解決できるんだろう、と考える人も増えてきたように思います。

そういう願いや思考や行動は、確実に世の中に良い変化をもたらしていると思います。例えば、外国の石油をねらって戦争が引き起こされているという現状を変えるには、石油を輸入する必要がなくなればいいと私は思うのですが、石油利権がらみで戦争を起こしまくってきたアメリカは今、外国から輸入する石油依存を減らすと宣言しています。2013年には20年ぶりにアメリカ国内で産出された石油量が輸入量を上回り、「アメリカン・メイド・エネルギー」をキーワードに再生可能エネルギーによる発電量拡大を目指しています(ちょうど今させてもらっているリサーチのお仕事で知ってタイムリーでした)。ソーラーパネルに使われるレアメタルはやっぱり地下資源だから、地下資源利権がらみの戦争につながるのではないか、という問題はありますが…。でも石油がらみの戦争がなくなる方向に動いていることは、今までからしたら大きな進歩だと感じます。街に出て、企業活動をチェックしてみても、まだまだ問題があって発展途上ではあるものの、昔に比べたら考えられないくらい、地産地消やフェアトレードを取り入れた製品が広がっているし、石油原料をやめて植物性由来成分に切り替えた製品なども増えています。私たちの願いや思考や行動が、目に見える良い変化として現れてきているのではないかなぁと思っています。

質疑応答を聞いていて、大企業や政府や大手マスコミなどを悪者と決めつけて、ただ叩くのではなくて、よく話して仲間になって一緒に良くしていくという、そういうスタイルが大切だなぁとも思いました。大企業でも大手マスコミでも、中で働いている人たち一人一人は、自分と同じ、一人の人間で、知ったらいいことをしたいという人もいっぱいいると思うし、知ったらいいことをしたいと思っている人が社内で多数派になったら行動したいのになぁと思っている人もいると思います。そういう仲間をだんだん増やしていくことも、自分にできることかなぁ、とお話をきいていて思いました。

とても素晴らしい映画でした。