20130710

電力を市民の手に

映画「パワー・トゥ・ザ・ピープル」を観てきました。
http://unitedpeople.jp/p2p/

電力を100%市民が自給しているデンマークのサムソ島と、電力の自給に向けて動き出している

オランダのテセル島の例を紹介しながら、巨大な電力会社から電気を買うのではなく、市民電力会社の創設や発電設備への共同出資などにより、発電と送電を市民が手にすることによって電力の民主化が進むと、人々の意識と社会がどう変わっていくのかを捉えたドキュメンタリー映画でした。

デンマークのサムソ島では、島が経済的にピンチを迎え、抜本的な改革を求められたのをきっかけに、再生可能エネルギーへの移行が市民の手によって一気に進んだそうです。

今では、市民が電力を発電して使うので、電気代はかからず、電力が余ったらデンマーク本島に売るので島の経済が潤い、二酸化炭素排出量も大幅に削減されています。ピンチをチャンスに変えたのは、島の人々の絆と想いでした。

一方、オランダは電力の民主化に関して、日本よりも少しだけ先を行っているという状況で、抱えている問題にも共通のものがあり、今日本はどう変わっていくべきなのか、今自分にできることは何か、より具体的に思い描くことができました。

政府や経済界が動くのを待っていては手遅れになる、市民が自ら動き出すべきなのだ、というメッセージが心に響きました。

映画に登場する人々はみんな私と同じ普通の人々です。市民電力会社を中心になって立ち上げた人たちも、配管工であったり、農家であったり、と電気や経営について特別なバックグラウンドを持っているわけではありません。

地域を良くしたいという想いひとつで、自ら動き始め、地域の人たちと絆を強めて、仕組みを作り上げていました。

地域の人々も一度ソーラーパネルを設置すると、節電はゲーム感覚になり、楽しんでいる姿を見て、まだ設置していない人々も関心を持つという好循環も生まれています。

電力の民主化が可能だということが目に見えてわかると、システムが大きくなりすぎて中身がわからなくなっているほかのことでも、市民が主導権を握って変えていけるのではないか、という意識が人々の中に芽生え、自営業者の共済を市民が立ち上げる例なども出てきました。

パワー(=電力)を市民が手にすると、社会をよい方向に変えていくパワー(=力)を市民が持つようになり、団結力や助け合い、経済力など、地域のパワーにもなる。とても勇気づけられる映画でした。

映画に登場するオランダの環境活動家マーヤン・ミネスマさんは、エネルギー価格は上昇を続け、家賃よりも高くなると語っていました。

同じく映画に出演するジェレミー・リフキンさんもエネルギー価格の高騰は、産業においても生産コストの上昇につながり、再生可能エネルギーによって電力自給を進めることは産業においてもコストの大幅な削減につながると話していました。

また、今5歳の子どもが90歳になるころには、地球上の生き物の約7割が消滅すると言います。

人も無数の生き物の営みの中にあります。その生き物たちが7割もいなくなったら、人の暮らしはどうなっているのだろうか、考えただけでぞっとしました。

信頼と協力に基づいた、持続可能なコミュニティ。

日本でも近い将来、それが当たり前になっているのかもしれません。そうなることが、人間が住み続けられる環境を守ること、そして持続可能な経済の循環のカギになると思いました。

お金も度胸もまだない私には、できることは限られていますが、どんな小さなことでもいいからできることを楽しく続けて、持続可能なコミュニティを作る力に少しでもなれたらと思いました。