20130727

参院選の記憶―その2

2013年7月21日の参議院選挙が終わり、感じたこと、心に残ったこと、新たに知ったことを少しずつ、書き残しておきたいと思います。その1は→「参院選の記憶―その1」に綴っています。

やっと日本にもできた緑の党に投票ができるというのがうれしいことでした。
2012年の衆議院選挙のときにはすでに結成はされていましたが、急な解散総選挙だったので準備が間に合わなかったのです。今回の参議院選挙が初の挑戦でした。市民が立ち上げた緑の党は、自分たちがこれから議員になろうとしているのに、「議員の給料を欧州並みに下げる」と言っていて(自分の給料を下げるなんて普通の人は言わないですよね)、自分の利益のためにやっているんじゃないんだな、やっぱり違うなぁと思いました。よく行くフェアトレードショップで知り合った友人がすぐろさんの街宣の応援をしていたのもびっくり(応援演説もきけてすごくかっこよかった)。アイヌ民族を代表して立候補してもらったというしまざきなおみさんも知人の友人でした。

緑の党は世界90カ国に存在していて、「モッタイナイ」で有名なワンガリ・マータイさんや、ドイツで脱原発を実現したのも緑の党です。世界の緑の党が共有しているグローバルグリーンズ憲章では、(1) エコロジカルな知恵、(2) 社会的公正、(3) 参画型民主主義(現代の日本は「お任せ民主主義」)、(4) 非暴力、(5) 持続可能性、(6) 多様性の尊重の6つを理念としています。

国会に被災者の声が届けたい、ということで、東電原発事故で家に住めなくなってしまった木田せつこさんと木村ゆういちさんに、願って立候補してもらったとも聞きました。100万人の母たち―七夕プロジェクトの前夜祭で、木田さんとすぐろ奈緒さんのお話を聞きました。二人してお互いに「国会に行ってくださいね」と言い合う様子を見て、やっぱり今までの政党とは違うなぁ、と思いました(自分が勝つことしか考えられないことが多いから)。

木田さんは、東電原発事故で自宅が警戒区域になったため、住んでいた土地を奪われました。数千万円のローンで建てたマイホームが、突然奪われ、東電が一方的に提示してきた補償額はとても見合うような額ではなく、ローンを差し引いたらほんの数百万円しか残らなかったそうです。仕事も土地も奪われた人がそんな額でどうやって生活を再建できると言うのでしょう。それでも額に不満を申し立てていれば支払いが遅くなり、生活が立ち行かなくなるので、妥協したそうです。もし自分がそんな状況に置かれたら、と胸が痛みました。

木田さんは「この土地には縁がなかったんだわ、と思うことにしました」と気丈に語っていました。「私はたまたま早く原発被災者になりましたけど、再稼働したら次はあなたがなるかもしれない、第二、第三の福島を作りたくない」とおっしゃり、ご自身の経験から、もうこんな目に遭うのは自分たちで最後にしたいと、脱原発を訴えているといいます。自分が大変な目に遭っているのに私たちのことを考えているなんて、なんてすごい人なんだと思いました。福島にはそういう人がたくさんいるそうです。二本松市で子どもを被ばくから守る活動をしている佐々木るりさんも同じことをおっしゃっていました。

その木田さんが東京で街宣中に有権者からこんなことを言われたそうです。「お前らか、福島から放射能を持ってきているのは」。そういうことをいう人が日本にはまだいる。逆ですよね。東京で電気を使うために、東電と政府が、福島に原発を持って行って、事故が起きて世界中に放射能をばらまいてしまった。福島の原発で作った電気を福島の人は一切使っていません。東京に電気を送っていたんです。福島に一番苦痛を強いている。なんでそんなことが言えるんでしょうか。無知で怒りの矛先を誤った方向にぶつける。メディアがきちんと伝えていない証拠だと思います。それに、衝突を恐れて話をしない国民性も表れていると思います。

自分と立場の違う人との話のしかた。それは、緑の党から立候補した日本アーティスト有意識者会議(N.A.U)代表の三宅洋平さんからたくさんのことを学びました。リアルチャランケの様子(書き起こしてくださっている方がいます)は特にすごかったです。演説中に怒ってきたおじさんと話し合って、最後には一票を獲得してしまいました。

まずは自分から、違いを認める。
相手の立場やその考えを持つに至る経緯を想像する。
そのうえで自分の意見を伝える。
違うからって自分の意見を言わないんじゃなくて。
共通の着地点を探りながら話し合う。

自分は、衝突を恐れて、嫌われるのも怖くて、あんまり言えていないほうだと思います。「どうせ言ったって、わかりっこないや」って諦めている気持ちもある。でもそれは相手の理解力をバカにしているし、諦めたらそれ以上は進めないってことだと反省しました。相手の思っていること、考え方、思考プロセスを理解して、自分のそれもきちんと伝えて、お互いに納得できたところにさらにいいアイデアができあがる。難しいけれど、試行錯誤しながら、周りの人たちから学びながら、自分なりの話し合いのしかたを培っていきたいです。