20151203

庭の「ワカメ」の正体―除草剤と遺伝子組み換えのこと

【旧暦神在月廿二日 小雪 橘始黄(たちばなはじめてきばむ)】

地方に移住して、通路や庭にこんなワカメみたいなものがうようよあって


なんだろう?と不思議に思っていました。晴れが続くと、乾燥ワカメ、雨が降るとワカメです。

先日、地元の友人が遊びに来てくれたときにようやく正体が判明しました。除草剤を撒いているところにはこんな「ワカメ」のような物体がいっぱいできるんだそうです。娘さんには、これがあるところでは草を摘んで食べたらいけないよ、と小さいときに教えていたと言っていました。うちではもちろんまかないので、何年も前に撒かれた除草剤が残っているということですね…。

長年、「安全だ、安全だ」と言われて使われてきた除草剤ですが、広く使われている主成分である「グリホサート」は、WHOでも2015年3月に、遂に発ガン性の疑いありの報告が出ました。WHOの専門組織である国際がん研究機関(IARC)の報告書で、5段階で上から2番目にリスクが高い「恐らく発がん性がある」(2A)に分類されています。市販の除草剤の成分を見てみてください。ほとんどすべてに「グリホサート」の記載が見つかります。早く除草剤が使われなくなり、土や水からも、身体からも毒性を除去する方法が広がることを望みます。

こういう「安全だ、安全だ」と言われて長年使われた後で、「やっぱり危なかったです」と禁止になる科学の産物は枚挙に暇がありません。グリホサートを安全だと主張する科学者も、こんなありさまです。

科学者「モンサントの除草剤は飲んでも安全」じゃ、飲んでみて? と言ったら......

こんな人のことは科学者とは呼べないと私は思います。残念ながら、こういうエセ科学者が多いから、だいぶ後になって「やっぱり危なかったです」となってしまうのでしょう。

エセ科学者が「科学的に安全」と主張しているものを、一般の人々の多くは「科学的」だと信じ、直感に従ったり、観察を基に危険だと感じて、安全性を疑問視し、ちゃんと調べてください、完全に安全だと証明されるまでは使用を禁止してください、と行動する人のことを、「非科学的だ」「迷信的だ」「過激だ」とののしります。そういう一般の多くの人々は、実際に健康を損ない、直接的に健康を損なわなかったとしても、地球の健康を損なうことで自分に害が降り注いでいても、まだわかりません。

グリホサートを主成分とする除草剤ラウンドアップを作っている会社モンサントは、遺伝子組み換えを研究し、ゴリ押ししている会社でもあります。遺伝子組み換え作物は、この除草剤に耐性を持つ遺伝子を組み込まれた作物で、除草剤を撒いても枯れません。遺伝子組み換え作物を普及させれば、種子の支配(遺伝子組み換え技術は特許なので、交雑したら特許侵害で農家が訴えられるため、種とりができなくなる)と、ラウンドアップを売りまくることが同時にできます。モンサントは儲かっていいでしょうが、それ以外の人々はそれでいいのでしょうか。

私は嫌なので、遺伝子組み換えが疑われる添加物入りのもの(*)は買わない(遺伝子組み換えにお金を払わない=不支持)、固定種の作物を育て、なるべく固定種の作物を買って応援し、種子の支配を阻止する、問題についてみんなに知らせる、ことあるごとに署名をする、など、できることをしていこうと思っています。

*遺伝子組み換え食品を避けるのは結構な知恵と努力が必要です…。この本を読むとよくわかりました。
いでんし くみかえ さくもつ のない せいかつ
遺伝子組み換え食品を食べずに1カ月暮らすことはできるか?という実験のレポート
こちらの本の内容紹介を引用します。
"現代の日本人の食生活は、年間に食べるお米の量の約2倍もの遺伝子組み換え食品を口にしている。それは日本が世界一の遺伝子組み換え作物輸入国で、食品表示をすり抜け、わたしたちが知らないところで微量ながらほとんどの食品に含まれているからだ。"
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